時事・社会

統一地方選挙を4月に行うべきではない、2つの理由

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★この記事で分かること★

  • 統一地方選挙を4月に行うデメリット
  • 選挙のせいで入学式の準備が止まる学校現場の実情
  • 引っ越しで投票権を失ってしまう4月選挙の問題
  • 統一地方選挙の意義

皆さん、こんにちは!けんた@ロスジェネ青春マガジン(@lost_gene_mag)です

2023年4月は、統一地方選挙が行われます。本日は、この統一地方選挙選挙について、語ろうと思います。

…といっても、今回語りたいのは、政治がどうだとか、社会がどうだとか、そんな話ではありません。

今回、社会問題を専門に研究する私が、「4月に全国一律に選挙をする」ということへの、ひとつの問題提起について、お話をさせていただこうと思います。

統一地方選挙とは

まずは、統一地方選挙について、改めて確認です。

統一地方選挙とは、ざっくりいうと

「3〜5月に行われる予定の全国の地方選挙を、国の法律に基づいて4月に集中させて『統一地方選挙』と冠することで、選挙の機運を高める」

というもの。

普通の地方選挙なんて、よほどのことがない限りニュースにもならず、一般市民の関心も薄くて、投票率が下がってしまいがち。

でも、この統一地方選挙の一環として行うと、どこか1つでも話題の選挙があれば、それが日々報道されるので、これに便乗して、選挙の気運が高まる、というわけなのです。

実際、2023年は、関西だと大阪府知事・大阪市長選挙が同日に行われたほか、保守分裂となった奈良県や徳島県の知事選挙があったため、統一地方選挙は全国レベルで話題となりました。

なので、統一地方選挙として行われた他の地方選挙は、この話題性にある種「乗っかる」形で運営することができていました。

統一地方選挙を4月にやるのはまずい

このように、統一地方選挙は、注目度が薄くなりがちな地方選挙への関心を高める、という点においては機能しているのですが、一方で、この選挙には、大きな問題があります。

それは「4月に行われる」ということ。

ではなぜ、統一地方選挙が4月に行われるとまずいのか。理由は2つあります。

【理由1】入学式シーズンである

言うまでもないことですが、4月は入学式シーズンです。

え、それが選挙と何の関係があるの?

と思われた方。実は、これが関係があるんです。

というのも、多くの場合、選挙の投票所は小学校の体育館とされていますが、この小学校の体育館が、入学式の準備で既に使われていたりするんですね。

学校にとって、入学式の準備というのは、思いのほか大変。ピアノを出したり、生け花を用意したり、飾り付けをしたり…。

4月上旬に選挙があると、こういう入学式の準備と、選挙の投票所の準備とが、まともにバッティングしてしまうんです。

そのため、体育館とは別の所に投票所を用意して、体育館に来た来場者への案内に追われたり、、深夜〜早朝に選挙の片付けと入学式の準備をセットで行ったりと、かなりの苦労があったようです。

特に今年2023年は、4月9日(日)というところに投票日が設定されましたが、まさにこの前後に入学式が行われたところ、多いのではないでしょうか。

【理由2】引っ越しシーズンで選挙権が失われる

そして、これもまた言うまでもないことだと思いますが、3月末〜4月初旬は引っ越しシーズンです。

入学、就職、転勤…さまざまな事情のもと、多くの人が、引っ越しに汗をかきます。

そして、この引っ越しは、行政的には「住民票の異動」、つまり「転入・転出」という手続きという形になるわけなのですが…

実はこの「住民票の異動」を行うと、基本的に3カ月間、選挙権を失ってしまいます。

選挙人名簿に登録されるためには、その市区町村に住民票を作成した日(他の市区町村から転入された方は転入の届出をした日)から引き続き3カ月以上、その市区町村の住民基本台帳に記録されている必要があります。
異なる市区町村に転出された方で、住民票を移していない場合、または住民票を移してから3カ月経過していない場合は新住所地で投票できません。

長野県松本市ホームページより

ただし、これには若干の例外があって、

【国政選挙の場合】
⇒引っ越し先の選挙人名簿に載るまでの間は旧住所で投票可能

【都道府県にかかわる選挙の場合】
⇒同一都道府県内の引っ越しであれば投票可能

というふうになっています。

要は「引き続き選挙権を行使できる範囲内での引っ越しであれば、何らかの形で選挙はできる」ということ。

しかしながら、今回の選挙は「統一『地方』選挙」ですので、あくまで選挙エリアはローカルです。

なので、引っ越しに伴って選挙権を行使できなくなる人が一定程度いることは、普通の感覚を持っていれば、容易に想像できるはずなのです。

にもかかわらず、あえてこの「4月上旬」に選挙を設定するというこの感覚…個人的には、なかなか理解が難しいなあ、と思っています。

まとめ

今回、統一地方選挙を4月に行うことの問題点について、政治とは少し離れた、どちらかというと市民生活の視点で、考察してみました。

これを言うと怒られるかもしれませんが、日々を一生懸命生きている国民・市民にとっては、自分の1票で何かが変わるとは実感しづらい選挙よりも、自分の子どもの入学式や、自分の人生の今後を大きく左右する引っ越しの方が、はるかに「自分ごと」であり、重要です。

もちろん、選挙は大切です。選挙権の行使は、長い歴史の中で先陣が勝ち取り、私たち一人一人に与えられた、大切な権利です。

でも、その権利を行使する場を作るのに、未来ある子どもたちの晴れの舞台を邪魔したり、そもそも多くの人が行使できないようなタイミングに日程をセットしたりしているようでは、せっかくの権利が台無しです。

これでは、権利を勝ち取った先人たちにも申し訳が立ちません。

選挙の大切さを説き、投票率を上げ、多くの人々が参政権を行使できるようにするためにも、その環境整備として、人々の日々の暮らしに注目すること、大事なんじゃないかなあ…と、そんなことを、ふと思った、2023年の春なのでした。

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