ロスジェネ世代

布袋寅泰「GUITARHYTHM VII」徹底解説!収録曲は?評価は?

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

★この記事で分かること★

  • 布袋寅泰「GUITARHYTHM」の歴史
  • 布袋寅泰「GUITARHYTHM VII」の収録曲、評価・レビュー
  • 「GUITARHYTHM VII」と最近の流行音楽の違い

皆さん、こんにちは!けんた@ロスジェネ青春マガジン(@lost_gene_mag)です!

2023年9月13日、布袋寅泰の最新アルバム「GUITARHYTHM VII」がリリースされました。

BOOWY解散後、「GUITARHYTHM」を掲げてソロ活動に取り組んだ、布袋寅泰。そんな同氏の最新アルバムは、「GUITARHYTHM VII」。

最新のギタリズムは、果たしてどのようなアルバムで、どのような世界観なのか…。

本日は、布袋寅泰をこよなく敬愛する私が、布袋寅泰の最新アルバム「GUITARHYTHM VII」について、過去のGUITARHYTHMを振り返りながら、徹底解説させていただこうと思います。

布袋寅泰のソロ活動「GUITARHYTHM」の足跡

BOOWYのギタリスト、そしてメインコンポーザーとして、1980年代の音楽シーンに強烈なインパクトを残した、布袋寅泰

彼が、BOOWYを解散した後、最初に取り組んだソロ活動が、アルバム「GUITARHYTHM」の制作です。

BOOWY時代の、バンドサウンドの疾走感を活かしたサウンドから一転、当時としては珍しい、コンピューターミュージックとギターサウンドの共存は、当時の音楽シーンに、強烈なインパクトを残しました。

 

その後、この「GUITARHYTHM」については、続編となる「II〜IV」を制作した後、いったんここで終了しますが…

2009年、15年ぶりとなる「GUITARHYTHM」シリーズの新作、「GUITARHYTHM V」をリリース。布袋寅泰ソロ活動のルーツとなる、コンピューターとギターの共存が、現代風に、そしてより高いクオリティで帰ってきたのです。

 

そして再び「GUITARHYTHM」シリーズはいったん置かれるのですが…今度は2019年に、10年ぶりとなる「GUITARHYTHM VI」をリリース。このアルバムは、ロンドンを拠点に制作され、UKロックを感じさせる、ハードでソリッドなサウンドがとても印象的でした。

また、この「GUITARHYTHM VI」では、BOOWY時代の盟友・高橋まことと松井常松とが共演する新曲「Thanks a lot」も、大きな話題となりました。

GUITARHYTHM VIIの特徴

そんな中、2023年にリリースされた、「GUITARHYTHM」シリーズの最新作、GUITARHYTHM VII

布袋寅泰のソロ活動は、「GUITARHYTHM」以外にもさまざまなものがあり、それらもまた魅力的なのですが…

この「GUITARHYTHM」という名前を冠するアルバムには、大きく次の特徴があると考えています。

【特徴①】コンピューターミュージックとギターサウンドの共存

GUITARHYTHMといえば、真っ先に思いつくのが、やはり「コンピューターミュージックとギターサウンドの共存」。

今でこそ当たり前となっているこのアプローチですが、当時としては非常に斬新で、そしてそれを、生のビートのグルーヴ感で勝負していたバンドのギタリストが仕掛けたものですから、それは大変な衝撃でした。

特にこの傾向は、「GUITARHYTHM」「GUITARHYTHM II」と、「GUITARHYTHM V」で非常に強く感じることができます。

特に「GUITARHYTHM V」は、初代「GUITARHYTHM」でやろうとしていたことを、2009年の布袋寅泰が実践したという点において非常に刺激的であり、布袋寅泰ソロ史上屈指の名アルバムだと言って良いでしょう。

【特徴②】ソリッドなギターサウンドが作り出すリズムの妙

一方で、初代GUITARHYTHMのイメージが強すぎるため、どうしても「GUITARHYTHM=デジタルロック」のイメージから抜け出せない人も多いでしょうが…

一方で、GUITARHYTHMシリーズには、ギターサウンドの生々しさを全面に出した、まさに「ギター+リズム」とも言えるハードなロックサウンドが多いのも、もうひとつの特徴です。

この傾向は、「スリル」「ワイルド」をテーマにした「GUITARHYTHM III」「GUITARHYTHM IV」で、より強く感じることができます。

また、サウンドの方向性は違いますが、UKロックのどこかダークなサウンドを漂わせている「GUITARHYTHM VI」も、このパターンに入るでしょう。

GUITARHYTHM VII収録曲!こんなアルバムです

さて、ここまで過去のGUITARHYTHMについて見ていきましたが、では最新作のGUITARHYTHM VIIとは、いったいどんなアルバムなのか

各曲について、少しご紹介しながら、見ていきましょう。

①AI Rising

壮大なオーケストラから始まるアルバムのオープニングは、GUITARHYTHMシリーズではおなじみのパターン。今回も、この後に続くGUITARHYTHMワールドを予感させるにふさわしい内容になっています。

曲名は、「AI」を掲げており、AIと人間の対立・共存のようなものをテーマにしているのかな…と、いろいろ、考えさせられるものがあります。

②Midnight Sun

こちらはシャッフルのビートを全面に出した、布袋寅泰のグルーヴ感を楽しめる楽曲。ギターソロも衝撃的で、まさにギタリスト・布袋寅泰を堪能できる楽曲だと言って良いでしょう。

ちなみにこの楽曲、ベースをKenKenが弾いています。こういった一流ミュージシャンとのコラボも魅力的ですね。

③Isolation

どこか退廃的な雰囲気漂う、ミドルテンポの楽曲です。「Isolation」…すなわち「孤独」という曲名が、しっくりと落ちる楽曲です。

こちらの楽曲では、ベースをあの亀田誠治が弾いています。心地よいスラップと、布袋寅泰のギターが見事に絡み合っていますね。

④Andromeda(feat. アイナ・ジ・エンド)

元BiSHのアイナ・ジ・エンドをボーカルに迎えた楽曲。彼女をAIで動くアンドロイドに見立て、その対話という世界観の中で楽曲が成立しています。

元々布袋寅泰はアイナ・ジ・エンドを一人のボーカリストとして注目しており、今回、ようやく共演が実現したとのことで、彼女の良さを活かすような楽曲づくりに取り組んだ結果、このような形になったようです。

⑤Highway Star

誰もが知るロックの名曲、Deep Purpleの「Highway Star」

これを「GUITARHYTHM VII」の世界観の中で、布袋寅泰がカバーした楽曲です。

もちろん、単なるディープ・パープルのコピーには終わらず、布袋らしさ、GUITARTHYTHMらしさが前面に出たアレンジになっており、非常に興味深いです。

一方で、ギターソロについては原曲のフレーズを大事に弾いており、全く違う楽曲…というわけではないのもまた注目すべきところ。

Deep Purpleの「Highway Star」は、誰もが知っている。そして、そんな誰もが知っている楽曲を、布袋がカバーしたらどうなる…?

そんなメッセージが、聞こえてきそうです。

⑥Domino

こちらもミディアムテンポの中、どこか退廃的な雰囲気が漂う楽曲です。

どこか「ドミノ倒し」のような連続感を感じさせる音を紡いだギターリフ、そして「Domino」の連呼、そして曲中に挿入させるピアノの物憂げな音は、逆説的ではあるのですが、どこかポップにも感じられる、この不思議。

これもまた、GUITARHYTHMシリーズの流れを感じさせる楽曲です。

⑦Mystic 7

今回のアルバム「GUITARHYTHM VII」、すなわち「7」をテーマに、遊び心を取り入れた楽曲。

歌詞でも「7」にフォーカスをあて、楽曲面でもセブンス・マイナーセブンスコードを取り入れるなど、とにかく「7」にこだわりぬいています。

楽曲全体としては、こちらもミディアムテンポで、これまでの楽曲の流れを全体的に踏襲しているといえるでしょう。

⑧Eternal Symphony

ここで楽曲の雰囲気が少し変わり、ポジティブな雰囲気をまとわせながら、前向きなメッセージを歌詞に込めています。

ギターの音もきらびやかさを漂わせており、「退廃した世界の中で見つけた、一筋の希望」のようにも聞こえる楽曲です。

なお、この曲も、ベースを亀田誠治が弾いています。

⑨Horizon

布袋寅泰はこの楽曲を「レクイエム」としていますが…

単なる鎮魂歌ではなく、消えた魂が地平線に向かい、そして輝きを放って、未来を照らしていく

そんな雰囲気に仕上がった、珠玉のギターインストです。

おそらくストラトキャスターで弾かれたであろう、繊細なギターの音色が、この楽曲の雰囲気を見事に彩っています。

⑩Break The Chain

最後を締めくくる楽曲は、なんと疾走感溢れる8ビート

良い意味で、この「GUITARHYTHM VII」というアルバムの締めくくりに、強烈な意外性を与えてくれる楽曲です。

イントロの特徴的なギターリフから始まり、曲を終始ギターのビートで引っ張るその世界観は、まさにGUITARHYTHMのそれ。

どことなく、「To be continued…」な雰囲気を感じさせながら、このGUITARHYTHM VIIというアルバムは、幕を下ろすのです。

あえて?「タイパ重視」の流れとは一線を画す

このアルバムをひととおり聞いてみて、気づくことがあります。

それは、まず、1曲1曲が、しっかりと作り込まれている上、それらが「GUITARHYTHM VII」というアルバムの構成要素として成立していること。

そして、ギターソロに非常に力が入っており、1分を超えるギターソロや、ギターインストの楽曲が当たり前のように取り入れられていること。

こういった楽曲の作り方は、

  • お気に入りの曲だけをピックアップして聞く
  • サビの部分だけ聞く

…といった、

最近流行りの「タイパ重視」の流れとは、完全に一線を画する

ものです。

音楽を、瞬間瞬間で消費するような聴き方をする人に対して作るのではなく、アルバムに、そしてその世界観にしっかりと向き合ってくれる人に対して、心を込めて真剣に作りたい…。

このアルバムからは、布袋寅泰氏の、そうした強いメッセージが感じられるように思います。

まとめ

以上、本日は、布袋寅泰「GUITARHYTHM VII」について、

  • GUITARHYTHMシリーズの流れ
  • 今回のアルバム1曲1曲の解説

という2つの視点を持ちながら、紹介させていただきました。

今回の、この「GUITARHYTHM VII」は、これまでのGUITARHYTHMシリーズの流れを大切にしながら、このアルバムならではの世界観を描ききり

そして同時に、音楽の1曲1曲、そして1枚のアルバムを非常に大切にするという姿勢を明確にすることで、結果として現在の「大量生産・大量消費・タイパ重視」な音楽とは明らかに一線を画する、ある意味で職人的・芸術的なアルバムに仕上がったと思います。

こんな時代だからこそ、ベテランギタリストが、自身のソロデビュー時から取り組んでいるテーマに原点回帰しながら、真剣に音楽と向き合って作り出した作品には、何物にも代えがたい価値、そして魅力が詰まっていると思います。

ぜひ、多くの人に、腰を据えて聞いていただきたいアルバムです。

そして、このアルバムを聴き終えたとき、きっとこの言葉が、頭に浮かぶことでしょう。

「GUITARHYTHM never gonna stop!」

にほんブログ村 その他日記ブログ ロストジェネレーション世代へ