★この記事で分かること★
- 阪神・オリックス優勝パレードの概要
- 阪神・オリックス優勝パレードと万博との関係性
- 政治的な思惑で阪神・オリックス優勝パレードが実施される危機感
- 「音楽と政治問題」と今回のパレード問題の類似性
- 阪神・オリックス優勝パレードのボイコットを視野に入れた提言
皆さん、こんにちは!けんた@ロスジェネ青春マガジン(@lost_gene_mag)です!
2023年のプロ野球は、セ・リーグは阪神タイガース、パ・リーグはオリックス・バファローズという、関西に拠点を置くチームがそれぞれ優勝しました。
「阪神なんば線シリーズ」への期待感も高まり、これで関西は大盛り上がり…
かと思いきや、さにあらず。現在、両チームの優勝パレードが、非常に大きな物議を醸しています。
本日は、元スポーツライターとして、プロ野球の取材にかかわってきた私が、今回の阪神・オリックス優勝パレード問題について、お話しさせていただこうと思います。
阪神とオリックス、優勝パレード!
これまで当ブログでもご紹介してきましたように、2023年のプロ野球は、阪神タイガースとオリックス・バファローズと、関西に拠点をおくセ・パそれぞれの球団が、圧倒的な強さで、見事に優勝を飾りました。
知将・岡田監督のもと、「優勝」といわず、あえて「アレ」と表現し、選手たちに過度に意識させないことで、肩の力を抜きながらセ・リーグを独走した阪神タイガース。
そして、一時は阪神以上の暗黒時代を経験しながら、コツコツと取り組んできた選手の育成が花開き、中嶋監督の巧みな采配のもとで若手からベテランまでが大活躍して、リーグ3連覇を達成した、オリックス・バファローズ。
さて、そんな関西の両チームが優勝したことで、にわかに浮上したのが「優勝パレード」問題。
一般的に言うと、阪神タイガースが関西では圧倒的な人気と知名度を誇りますが、オリックスのリーグ3連覇というのはなかなかできることではなく、むしろそちらを誇るべき、という声もあります。
また、阪神タイガースは西宮…すなわち兵庫県を拠点とする一方、オリックスは京セラドームが立地する大阪府を拠点としており、これもまた、パレードの実施場所をどうするかが悩ましくなります。
仮に、阪神とオリックスが同日に別の場所でパレードを行うと、おそらく注目度は阪神の方にすべて奪われて、オリックスの強さを祝うことが難しくなる…
また、関西のパレードの「聖地」とも言える大阪の御堂筋で阪神タイガースがパレードを行うことに、違和感を訴える大阪在住のオリックスファンも一定程度いる…
と、この「優勝パレード」は、いくつかの論点が複雑に絡み合う、非常に難しい案件になっていました。
そんな中、この優勝パレードについて、9月22日、大阪府の吉村知事と、兵庫県の斎藤知事、そして関西経済連合会の松本正義会長(住友電気工業代表取締役社長)とが記者会見し、今回の優勝パレードについて、
- 2023年11月23日に実施する
- 大阪・御堂筋と神戸・三宮の両方で、時間を分けて両チームが別々に行う
- パレードのタイトルは「兵庫・大阪連携『阪神タイガース、オリックス・バファローズ優勝記念パレード ~2025年大阪関西万博500日前!~』」
とすることが発表されました。
今回の優勝パレードの問題点
この優勝パレードの記者会見が行われた後、これまでさまざまな議論がありつつも、なんだかんだで優勝パレードを楽しみにしていたネット上の世論は一転。
今回の阪神・オリックスの優勝パレードについては、批判の声一色となります。
なぜ、今回の優勝パレードのスキームが、批判にさらされることになったのでしょうか。
以下、今回の阪神・オリックス優勝パレードの問題点を見ていきます。
【問題①】パレードの会見に、両チームの姿がない
今回の記者会見は、「阪神とオリックス」の優勝パレードがテーマだったはずなのですが…
会場には、阪神の旗やロゴもなければ、オリックスの旗やロゴもありません。
そして、阪神・オリックス両球団の関係者も、一切姿が見えません。
その代わりにいるのは、今回の関西球団の優勝とは一切何も関係がない、万博のキャラクター「ミャクミャク」と、万博をPRする掲示物です。
阪神&オリのVパレード11月23日に御堂筋と三宮で 吉村知事「市役所~心斎橋の約2キロできれば」
→大阪、兵庫、関西、全国の阪神ファン、オリックスファンの皆さん、11月23日(祝)は、あけておいて下さい。盛大にパレードやります。お楽しみに。たこ焼きも食べにきて下さい。 https://t.co/ZCIyfVOfYc— 吉村洋文(大阪府知事) (@hiroyoshimura) September 22, 2023
【問題②】万博が阪神・オリックスの優勝に便乗している
この状況から見えるのは、
という疑念です。
今、関西の行政は、万博の推進とは切っても切れない関係にあり、隙あらば何でも万博に絡めようとしている傾向にあるのですが…
今回は、よりによって「阪神・オリックスの優勝パレード」という、行政とはほとんど関係のないテーマにまで便乗してきています。
この状況に、節操のなさを感じた人は、きっと多かったことでしょう。
【問題③】万博は現在「政治問題」となっている
とはいえ、阪神・オリックスの優勝に便乗したセールを行ったり、記念イベントを行ったりするのは、たとえば関西の商店街や商業施設などでは、割とよく見られること。
ですので、「便乗PR」自体は否定されるものではないのかもしれませんが…
ここで注意しないと行けないのは、
ということ。
もともと「万博の関西への誘致」は、経済政策における実績として、日本維新の会が政治的にPRしてきていたという経緯があります。
しかしながら、そんな万博については、
- 建築資材の高騰や人材不足による建設の遅れ
- 予算の膨張
- 一般市民が入る気にならない、高い入場料
- 周辺エリアの日常交通への悪影響
など、さまざまな批判や議論があるのも事実で、率直に言って、「すべての人が賛成」という状況にはありません。
にもかかわらず、そんな「すべての人が賛成」ではない案件を、日本維新の会に属する関西の首長が政治的にリードしてきたという経緯があってしまうがゆえに…
今回の万博は、政治的に「維新支持層」と呼ばれる人以外には、受け入れにくくなっているのです。
言い換えると、
今回の万博は、「維新VS非維新」の「政治問題」である
という様相を呈しているのです。
政治問題を絡めることで、万人がお祝いできない…
ここまで、3つの「問題点」を挙げてきましたが、実はこれらの問題点は、結局は、
ということに、すべて収斂されます。
そして、「政治問題」になってしまったことは、当然、私たち国民一人ひとりが、自身の政治的自由のもと「賛成・反対」を表明することができるわけですが…
今回、
「阪神・オリックス優勝」という、誰でも祝えるはずのことに、「万博」という賛否が分かれる政治問題をくっつけることで、
- 万博懐疑・反対派が優勝パレードにかかわりにくくなってしまった
- 優勝パレードに参加することで、内心における万博の賛否にかかわらず、外形上は「万博賛成」と見なされる状況になってしまった
ということになってしまいます。
阪神・オリックスの優勝は、祝いたい。
だけど、そのことと、万博とは全く関係がないのに、パレードで一緒にお祝いすることで、結果として「万博に賛成」という流れに巻き込まれてしまう…
これこそがまさに、「阪神・オリックスの優勝を、政治利用した」という状況なのです。
「音楽と政治問題」と同様の構図
ところで、この「万人が賛成できる案件に、賛否が分かれる政治問題を絡ませる」という手法、実は音楽でも結構使われていたりします。
たとえば、今年2023年の春、元BOOWYのドラマー・高橋まことが、ツイッター(現「X」)で、五輪や万博について否定的なツイートを、政治的イデオロギーを前提に行い…
これに対して、同じく元BOOWYのギタリスト・布袋寅泰が苦言を呈した、という事案がありました。
この問題は当時ネットニュースでも結構な話題になったのですが、そのことによって、
という事実が白日の下にさらされ、かつてBOOWYの音楽に酔いしれていた多くの人々がガッカリする…という事案がありました。
このときの高橋まことの政治的発言は、万博に対する否定的な見解であり、今回の優勝パレードとの問題とは主張がまさに逆になるのですが…
実はこの手の議論において、政治的イデオロギーの左右・賛否は問題ではありません。
なのであり、そういった点においては、まさに今回の「優勝パレード問題」と同様の構図にある議論だと言えるでしょう。
まとめ…今からでも「万博」の撤回を!
以上、本日は、阪神・オリックスの優勝パレードについて、関西の維新系首長たちが政治的に利用している現状を明らかにするとともに、その状況に警鐘を鳴らす記事を書かせていただきました。
阪神・オリックスの優勝は、(他球団ファン等という事情を除けば)基本的に多くの関西人が、素直にお祝いできる出来事です。
しかし、そんな「お祝い」のイベントに、「万博」という政治的賛否の分かれるテーマがセットにされてしまうと、その政治的賛否のせいで、「お祝い」を素直に祝えなくなってしまうのです。
本稿では、万博の賛否を問うつもりはありませんし、賛成の人・反対の人、それぞれがそれぞれの思いを持っていて良いと思っています。
ただ、それだけ賛否が分かれ、しかもそこに政治的思惑がからむような案件は、阪神タイガースやオリックス・バファローズの優勝にからめるべきでは、決してありません。
今からでも遅くありません。
ぜひ、阪神・オリックスの優勝パレードは、「万博」とは切り離し、できるだけ政治的なPR色を薄めて、すべての関西人、そして両チームのファンが、頭を空っぽにして、純粋な気持ちで祝えるよう、ご配慮いただきたいと思います。
仮に「万博」が消えないのなら、パレード参加拒否も視野に
そして、
もし、万博の話が消えないのであれば、阪神・オリックスの優勝パレードは、参加を拒否すべき
…そう言わざるを得ないほど、今回の優勝パレードと万博PRのセット実施には、大きな問題があると考えています。
当ブログは、これまで阪神タイガースやオリックス・バファローズを応援する記事を、たくさん配信してきました。
そのようなブログメディアが、「優勝パレードのボイコット」を提言せざるを得ない状況…本当に残念で、心苦しいです。
どうか大阪府・兵庫県の両知事は、そんな人がいるという思いを、少しでも真剣に受け止めて、そして理解してほしいと、心から願っています。