ロスト・エコノミー 第4回(β)|失われた世代が、世界経済を読み解く。
有事か、インフレか、金利か。
同じ金(ゴールド)を、僕らは三つの理由で見ている。
僕です、けんた。
ドラクエで、強敵の前に「セーブして、装備を確かめる」時間があったろう。次のボスは炎か、氷か、呪文か。何が来るか分からないから、準備の時間がいちばん楽しかった。
今週、僕らの前に日程が出た。7月14日、米CPI。世界のインフレの”通信簿”だ。
これまでこのコラムは、「先週こう動いた、なぜ?」という振り返りをやってきた。今日から、もう一つ加える。「来週これが出る。さあ、どう構える?」──先読みだ。装備を確かめる時間、始めよう。
まず、日程だけ(しおり)

しおり「こんにちは、しおりです。今週、いつ・何が出るか。事実だけ、並べますね」
| 日時(日本時間) | 発表 |
|---|---|
| 7/14(火)21:30 | 米CPI(消費者物価指数・6月分)★今週の主役 |
| 7/15(水)21:30 | 米PPI(生産者物価指数・6月分) |
| 7/16(木)21:30 | 米小売売上高(6月分) |
しおり「ここで、大事なお約束をひとつ」
※予想値は、載せません。
「いつ、何が出るか」は──事実です。
「どうなるか」は──みなさんと、一緒に考えます。
しおり「そして、いま金のまわりで起きていることも、数字だけ。ちょっと、おかしなことが起きています」
- 中東で、緊張が一気に高まった(有事)。
- なのに──金は下がった(−0.64%)。銀も下落。
- そして、米10年債の金利は上昇(4.57%)。
- 恐怖指数VIXは15.03まで低下=市場はパニックしていない。
しおり「……有事なのに、金が下がった。かきおさん、これ、どういうことですか?」
私の”型”が、崩れかけている(かきお)

かきお「……正直に言おう。私の型が、いま、崩れかけている」
先週、私は「イランはまだ火種だ」と言った。そのとおり、火は噴いた。原油は一時5%超も跳ね、株は下げた。私の”有事”の読みは、そこは間違っていなかった。……だが、また引っ込んだ。有事は、行き来する。
問題は、そこじゃない。有事が来たのに、金が上がらなかったことだ。
これは、私にとって重い。「有事なら、金」──これは私が長年、身体に叩き込んできた型だ。その型が、今回、効かなかった。
犯人は、たぶん金利だ。金利が上がると、金は押さえつけられる。(金は、持っていても利息を生まないからね。金利が高いと、金より”利息のつくもの”が選ばれる。)有事が金を上へ引っ張っても、金利が下へ引き戻した。だから、金は上がらなかった。
かきお「だから私は、CPIを見る。予測じゃない。警戒だ。自分の型が壊れかけているときこそ、飛びつかず、目を見開いて見る。それしかない」
金を動かす力は、いま”三つ”ある(K)

K「かきおの困惑は、正しい。彼の型が壊れたのではない。力が、一つ増えたのだ」
金を動かす力は、いま三つある。
- 有事(金を上へ)── 危機が来れば、人は金へ逃げる。
- 通貨価値の低下(インフレ)(金を上へ)── 紙のお金が目減りすれば、金が選ばれる。
- 金利(金を下へ)── 金利が上がれば、利息を生まない金は不利になる。
今週、有事が来ても金が下げた。理由は単純だ。金利の下げ圧力が、有事の上げ圧力に勝った。それだけのことだ。
K「そして──CPIは、この三つ巴の”審判”になる」
ここが、素人が間違えるところだ。「CPIが高い=インフレ=金は上がる」と考える。だが、そう単純ではない。
CPIが高く出たら、金には”上げ要因”と”下げ要因”が、同時に来る。
・インフレの層が厚くなる → 金は上へ
・だが、インフレが粘れば金利も上がる → 金は下へ
どちらが勝つか。それが、7月14日に問われる。
──もっとも、これも私の読み筋だ。三つの力の綱引きが、どちらへ傾くかは、私にも断定できない。
世界は、読むたびに深くなる(けんた)

ここ、僕がいちばん興奮しているところなんだ。
3週間前、僕らはこう聞いた。「金が上がった。なぜ?」 かきおは”戦争”、Kは”インフレ”と読んで、割れた。そして答え合わせで分かった。答えは「二層だった」。
そして今。層は、三つになった。有事、インフレ、そして金利。
……面白くないか? 読めば読むほど、世界は深くなる。「分かった」と思った次の週に、もう一枚、下から出てくる。
ドラクエで、やっと倒したボスの奥に、もっと強いボスがいた。あの感じだ。あれ、ガッカリした? ……しなかっただろ。ワクワクしたはずだ。 世界に、まだ先があったから。
だから僕らは読む。当てるためじゃない。深さを、見るために。
あなたなら、どう読む?(しおり)
しおり「さあ、7月14日。CPIが高く出たら、金は上がると思いますか? 下がると思いますか? ──そして、その“理由”は?」
① インフレだから、金は上がる(通貨の目減りが勝つ)
② 金利が上がるから、金は下がる(金利の重しが勝つ)
③ 有事しだい(中東が、また火を噴くかどうか)
しおり「これは、価格を当てる遊びじゃありません。あなたの”読み筋”を、聞かせてください。外しても、いいんです。むしろ、外した理由が、次の宝物になります」
▶ コメント欄、または X(@lost_gene_mag) で、①/②/③と、その理由を。
7月14日、21:30。
答えは、相場が出す。
かきおの”崩れかけた型”は、また立ち上がるのか。Kの読む”三つ巴”は、どちらへ傾くのか。そして──あなたの読みは。
けんた「装備は、確かめたね。じゃあ、行こうか。……続きは、答えが出てから」
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▶ 次回:答え合わせ号。「CPIは、三つ巴のどちらに軍配を上げたか」
※本記事は投資助言ではありません。市場データと経済ニュースを題材に、情報の読み方・判断の癖を学ぶための、教育・記録コンテンツです。個別の金融商品の売買を推奨・助言するものではありません。今後の発表予定は公式スケジュールに基づく事実であり、予想値・結果の見通しを示すものではありません。数値・事実関係は、必ず一次ソース(取引所・報道機関・公式発表)でご確認ください。
※本文の「読み」は、すべて仮説です。
※「誤差エンジン」はβ(試験運用)です。
データ出典:Yahoo Finance(yfinance/15分遅延、7/10終値基準)。発表予定は BLS・FRB・BEA・Census 等の公式スケジュール。ニュースは Reuters/AP/CNBC 等の公開見出し。
